金沢へ加賀水引細工編2020.11.3

水引の産地といえば、長野県の飯田水引、愛媛県の伊予水引が有名なのですが、水引と聞くと金沢や京都をイメージしませんか?中でも鶴や亀のすごく立派なオブジェとして見る機会があるのは加賀水引ではないかと、金沢を巡ってきました。
金沢駅 金沢のランドマークです。駅に降り立つとドーンとそびえていて、金沢っ子から言わせると金沢の街には立派すぎると思う人もいるとか。確かに本当に立派です。下から見上げると細工も素敵な素晴らしいアートです。

さて、すぐに観光協会で今回の旅の目的「水引」について知りたいと相談すると、「津田水引店」と兼六園近くにある伝統工芸館、そして長町武家屋敷街にある老舗記念館を紹介してくれました。すごく素敵な女性で対応もとても親切でそれだけでも来てよかったと思ったほど。
そこは金沢中央観光案内所。駅の観光案内所は混雑していて、ホテルの場所や名所までの行き方などを聞くには良いが、ゆっくり説明を聞くことには不向き、ちょっと足を伸ばして(と言っても、バスで2駅くらい)南町という場所にある金沢中央観光案内所をおススメします。

さっそく観光案内所のすぐ裏にあるという武家屋敷街を散策。江戸時代にタイムスリップしたみたい。

その片隅に見つけました、老舗記念館!昔の薬屋をそのまま利用しているそう。
1階は江戸明治期の薬屋の様子がそのままに。漢方薬が主流だったんだな~当たり前だけどそう思い、ドラマ仁が頭を過ぎりました(( ´∀` )

2階もあるよ、と受付のおじさんに案内されて上へ。そこにありました!探していた水引細工!
おじさんの説明によると昔の結納は本当にこれだけ揃えていたそうで、この水引細工ひとつひとつにも意味があるとのことでした。鶴=鶴は千年「長寿を象徴」に加え、「夫婦鶴」といわれ一生連れそう鳥だそう「ずっと仲良く連れ添って」という意味。
亀=亀は万年「これも長寿」また浦島太郎伝説にもあるように海の神様、ご利益をもたらしてくれるという意味。
松竹梅の梅(花)も水引でよく使われます。梅=梅は冬の厳しい寒さでも花を咲かせる事から繁栄の意味

そして何より驚いたのは「宝船」が水引で作られていたこと!お宝を運んでくるそのままの意味。
見てください、これが水引細工ですよ!その器用さに感動しませんか?!

さて、武家屋敷を後にした私は、金沢水引といえば津田さんと言われる津田水引店を訪れました。

なぜ金沢水引と言えば津田さんと言われるかといいますと、1915年(大正4年)津田左右吉(そうきち)氏が作り出したものだからです。元々上流階級での物品のやり取りに使われていた「水引」と「折型」(和紙で品物を包む)という正統な礼法は、きちんと折り目をつけた平面的なものでした。今でいうとデパートできちんと包装紙で包み、リボンを手結びでかけたものみたいなイメージかな。出来合いのお花のリボン(立体的)をシールでペタッとつけるのではないパターンです。
これを折型もきっちり折らずにふっくらと折り目を付けただけにとどめ、それを水引で結んだのが加賀水引の始まりだそう。津田左右吉氏のアイデアから生まれたのが加賀水引なんですね。

これが折り目をふわっとさせ、あでやかな水引で結んだ加賀水引です。ボリュームのある華やかな印象になりますね。
ちなみに、きちっとしていた折型はこのような感じです。

折り紙みたいですね。日本の伝統文化はつながってますね。

他にもすごいな~と思ったお話しをご紹介しますと、、左右吉さんはその独創的な技を「無茶苦茶流」と言ったとか。基本の流儀を尊重していることが伝わる言葉です。それでも自分流にアレンジするには大変勇気のいる時代だったろうなと思います。喜ばしいことにその熱意と流儀は今でも脈々と受け継がれています。
更に、折+立体水引+書の三位一体が加賀水引であるという基本軸を崩さず引き継いでいる姿勢にも感動します。3セットなんですね。確かにご祝儀袋に書かれている美しい文字も大事!
すべて揃って加賀水引とは、感慨深い。

この先100年も200年も続く伝統であって欲しいと切に願います。
日本人が感謝や祝いの心、贈る気持ちを持ち続ける限り水引文化は継承されるはず、そう信じています。